オーストリア航空草創期(その1)
'50s - '70sのオーストリア航空


   オーストリアは、1938年(昭13)に当時のナチス・ドイツに併合され、大戦後もしばらくの間、連合国により分割統治されるという激動の歴史をたどってきました。そのような経緯もあり、戦後のオーストリアに独自の航空会社が設立されるのは、1957年(昭32)9月まで待たなければなりませんでした。

(ちなみに、日本は1951年(昭26)、ドイツは1955年(昭30)に戦後の民間航空が復活しています。)
 
   オーストリア航空は1958年(昭33)3月に運航を開始しました。当初の路線はウィーン・ロンドン間でしたが、やがてヨーロッパの主要都市へ就航を拡大します。
 上に紹介するのは、1958年6月から有効の時刻表です。西欧圏の主要都市のみならず、東欧のワルシャワにも乗り入れているのが、東西の接点としてのオーストリアの特徴を表しています。

 表紙は、空色の地に国旗の色の帯をめぐらし、中央には鳥をデザインしたマークが描かれ、平和な空に飛び立つ希望を象徴しているようなデザインです。
 


 運航開始時に使用された機種は、イギリス製の「バイカウント」4発プロペラ機でした。右は当時の搭乗記念ポストカードですが、そこにはアルプスの氷河の上空を飛ぶ同機が描かれています。
 当初はリースされた700シリーズを使っていましたが、1960年(昭35)からは、胴体を延長した一回り大型の810シリーズを購入し、就航させました。
 下は、同じ頃に機内で配布された、各種案内パンフや絵葉書等をまとめて収めた、フライトパケットの表紙。シュテファン大寺院の塔がひときわ目立つウィーンの街並と、アルプスの村が描かれた美しいデザイン。

(時刻表に、「4発ターボプロップのビッカース・バイカウントで全便運航」との注が見えます。)

 ちなみに、わが国の全日空も1960年代を通じて、この「バイカウント」機を使用していました。最初はリースした700シリーズにはじまり、その後810シリーズを購入したという経緯が、奇しくも一致しています。
Viscount Postcard

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