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Tone river boat ca.1920 水郷案内
1920(大正9)年頃?
銚子汽船/東京通船
105mm×80mm 6頁
利根川水系の河川交通

陸路に伍して活躍した交通手段
 日本の河川は短くて急流が多く、長距離の河川交通にはあまり向かないと言われます。しかし、鉄道があまり発達していなかった頃、平野部の河川は人や物の輸送に無くてはならない運搬路でした。
 関東では昭和に入る頃まで、利根川や江戸川といった河川や、霞ヶ浦や北浦といった湖沼がそうしたルートとして活用されていました。これはその当時、利根川筋に定期旅客船を運航していた会社の発行した案内パンフレットです。

両国発銚子行き
 パンフレットには、この水系の汽船時刻表が掲載されています。それによると、東京(両国)発銚子行きという長距離路線も運航されていました。この資料には船の写真や船旅の様子は書かれていませんが、他の文献によると、「通運丸」型とよばれる外輪蒸気船が使われていたようです。
 他に、「沿岸旅館」の一覧表として、佐原や潮来などの旅館案内があります。昼は船に揺られ、夜は宿に泊まりながら、のんびりとした鹿島詣の旅路がしのばれます。

 この地域には鉄道が次々開通し、航路は急速に縮小の道を辿りました。かつては基幹交通として活躍した水運も、霞ヶ浦の遊覧船が細々と残っているに過ぎません。


上は汽船の時刻表。
一番右上に、東京発銚子行きの便が見えます。その隣の新波行きは、江戸川を遡り、野田の先まで達していました。
この会社は元々、東京と千葉を結ぶ航路を運航しており、欄外にその航路についての案内が書かれています。
今のディズニーランドのあたりを蒸気船が往来し、地元の足として活躍していたわけです。
 
下は、利根川水系の航路図。鉄道網も充実し、航路が衰退する直前の様子です。

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