バス会社
陽炎の立ち昇る夏の砂利道をバスがゆく。
砂埃を巻き上げ、エンジンの唸りを響かせて…
全開の窓からは、草いきれの混じる熱風が車内に注ぎ込む。
きっと、そんな光景をこれらの時刻表は秘めているのでしょう。
松本自動車
乗合自動車時刻表 1939年(昭14)


・表紙には上高地の河童橋の写真。
・松本から島々迄の電車に連絡し、上高地へ運行。
・夏季の最盛期には一日十往復を運転。
・支線に、奈川渡〜寄合渡や、沢渡〜白骨温泉。

[この年…第2次大戦はじまる]
東海自動車
伊豆半島バス時刻表 1954年(昭29)12月


・薄い紙に印刷された折畳式。
・鉄道の無い停留所の名称にも「駅」がついていた。
 (土肥温泉駅、湯ヶ島駅など)
・沼津〜下田など、今日にはない長距離路線もあった。
・伊東〜下田間の急行便には愛称がついていた。
 (「黒潮」「南豆」「石廊」)

[この年…青函連絡船「洞爺丸」沈没]
東邦交通
観光定期バス運行時刻表 1953年(昭28)


・美幌から川湯や阿寒湖経由で、釧路迄の路線を運行。
・美幌〜釧路間は所要約11時間。
・時刻表は、路線図風に描かれている。
・現在、同社は「くしろバス(株)」となっている。

[この年…奄美諸島がアメリカから日本へ返還]

画像は一部
阿寒バス
阿寒国立公園周遊 定期バス時刻表 1959年(昭34)


・同社は、上の東邦交通から分離して発足した会社。
・B4サイズ一枚に、阿寒国立公園や根釧地域の路線を掲載。
・昭和28年と比較し、掲載路線や便数が大幅拡大。
・美幌〜釧路間は約2時間短縮されている。
・北見〜釧路間に「ビジネス急行」運転。(所要5時間)
・「バスには無線機を装備」との記述あり。

[この年…伊勢湾台風で大きな被害]
北海道中央バス
中央バス時刻表 1957年(昭32)6月

・折畳み式ポケット版タイプ。
・札幌地方営業部管内全線をカバー。
・札幌市内のターミナルから、各方面へ頻発。
・札樽急行、千歳方面、室蘭方面、夕張方面、石狩方面など。
・支笏湖へは休日のみ、座席指定急行便が一往復。

[この年…日本初の原子炉が稼動開始]
日本国有鉄道(国鉄北海道地方自動車事務所)
国鉄バス時間表 札樽線 1958年(昭33)7月


・折畳み式(8つ折)
・札幌〜小樽の他、朝里温泉や手稲折返し便を掲載。
・札樽間の快速便には「つばめ」「かもめ」の愛称。

[この年…下田沖に全日空機墜落]
三重交通
時刻表 附・関係他社線 1960年(昭35)4月


・300頁あまりの本格的な冊子。
 (一社でこれだけのボリュームのものは珍しい。)
・創刊号となっているところから、定期刊行を目指していた?
・当時は伊勢神宮近辺で軌道線も運転(神都線)
・名古屋〜津、津〜鳥羽間は30分おきに頻発。

[この年…チリ大地震による大津波で日本に大きな被害]
宮崎交通
全線バス時刻表 1963年(昭38)4月


・80頁ほどの小冊子タイプ。
・表紙は、同社が宮崎市内の大淀川畔に設置している、ロンブル(日よけ)と呼ばれるテントをデザイン。
・熊本〜延岡、延岡〜宮崎などに、「6月1日より快速冷房バスが走ります」との案内。
・定期観光バスは、国鉄列車に接続をとっている。
 (準急「日南」号結合コースというものもあった。)

[この年…国鉄鶴見事故]
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